「わたしは無罪で死刑になりたい」 瀬戸夏子
誘惑を好むたちなら夕焼けを好むたちならよくよく阻んだその傀儡を
どのレベル、きみのレベルに桃の核、抜かれて知った腕のあかりは
根をもつと程近くなる日を通し良い色をした頬にぶつかる
黎明の火を焚きくらべ身のなかを知る気配からその満場の意志
快楽的批判をひとは喪の心 波が洗った限界から来て
錆びた馬 劇を繋いでいく場所と折られた紙に反射する雪
姫始めまた清潔な輸血とも油のようなながい黄昏
この花の呼吸となってしかるべき銀の針先千にわかれて
狭くないNASAの寝台そのままに酸素と炭素のぶつかりそのまま
いいのにね 係累という名で遊ぶそれからのこの松・竹・梅も
作者紹介
- 瀬戸夏子(せと なつこ)
2005年、作歌開始。早稲田短歌会、同人誌『町』を経て、現在、同人誌『率』(http://ritsu8810.blog.fc2.com/blog-category-1.html)同人。2012年、歌集 『そのなかに心臓をつくって住みさない』上梓。