光悦忌
佐藤 明彦
嘴をもて小石どかすも春の川
弟子なれば案内もうれし光悦忌
光悦をまた訪ねたし春の雲
春のサイレン老人をさがしをり
春鴉歩けば鳩の逸れゆける
三椏のどの枝剪らんとぞ思ふ
階の木の朽ちたるや福寿草
春霙一片とけし跡の水
しやぼん玉触れたる砂の上濡るる
したはれて補欠に終はり卒業す
佐藤 明彦(さとう あきひこ)
1952年 北海道生まれ
1987年 会社の仕事にて辻桃子と出会い「童子」入会。現在「童子」編集長。
句集『怪力・ポップコーン』(梶川みのりと共著)
童子賞、童子評論特別賞受賞