きらきらとおそらのうえでみんながねるゆめをみながらくものうえでねる
本保茉鈴 『星座ジュニア』(2008年、かまくら春秋社)
『星座ジュニア』(2008年、かまくら春秋社)に掲載された作品。作者は、当時、横浜・元街の小学校3年生。あのあたりの“浜っ子”は、日頃どんよりとした夜空しか見ることができない。担任の教員のコメントによると、夏休みに帰省などしてきれいな星空を見ることができたらそれを歌に書いてごらん、と言ってみたそうである。そうしたら、きれいなおほしさまです、などというのを突き抜けて、斯くも不思議な歌が生まれた。「みんながねる」の「ねる」は、あるいは作者は終止形のつもりでここで切ったのかも知れないが、読者としては連体形の「ねる」の方に読んで、うねりのある韻律の一首として受け取りたくなってくる。みんながおそらのうえでねているゆめをみながら、わたしもくものうえでねている。眠れない夜にこの一首を呪文のようにとなえていると、いつかやすらかな眠りに入ることができそうだ。