嵯峨野早春 十二句 堺谷 真人
寂庵に寂聴をらぬ白椿
きさらぎの繭人形を褒めて買はず
淡雪や黒木鳥居は含浸と
福助の坐高水仙より低し
照りかげる春は苔いろ念仏寺
厠よりもどれる顔の余寒かな
カラフルなランナー躱し来る燕
梅まだし口数おほき車曳き
初蝶を待つ老獒の横すわり
落柿舎の遅日全裸のさるすべり
女酒かじろき湯葉の煮えごころ
帰雁いま微小粒子を肺胞に
嵯峨野早春 十二句 堺谷 真人
寂庵に寂聴をらぬ白椿
きさらぎの繭人形を褒めて買はず
淡雪や黒木鳥居は含浸と
福助の坐高水仙より低し
照りかげる春は苔いろ念仏寺
厠よりもどれる顔の余寒かな
カラフルなランナー躱し来る燕
梅まだし口数おほき車曳き
初蝶を待つ老獒の横すわり
落柿舎の遅日全裸のさるすべり
女酒かじろき湯葉の煮えごころ
帰雁いま微小粒子を肺胞に