つるや 西村麒麟
古浴衣つるやつるやと書いてあり
一つあるパイナップルを見るばかり
遺影より淡き視線や黴の宿
籐椅子にたびたび来たる霊二人
洗ひ髪行つたり来たりする猫よ
目と耳と小さきジュゴンや夏の月
柄の硬き鯨まつりの団扇かな
ハンモックお酒を抜いてゐるところ
ほぼ見えぬ君よ線香花火持ち
迷子の子迷子のままに踊りけり
つるや 西村麒麟
古浴衣つるやつるやと書いてあり
一つあるパイナップルを見るばかり
遺影より淡き視線や黴の宿
籐椅子にたびたび来たる霊二人
洗ひ髪行つたり来たりする猫よ
目と耳と小さきジュゴンや夏の月
柄の硬き鯨まつりの団扇かな
ハンモックお酒を抜いてゐるところ
ほぼ見えぬ君よ線香花火持ち
迷子の子迷子のままに踊りけり