生物園  吉野秀彦

  • 投稿日:2020年09月12日
  • カテゴリー:俳句

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生物園   吉野秀彦※

懐郷のリス猿跳ぶや檻の秋
人の背は無防備なもの秋の蟬
コンクリの檻に吾秋の生物園
もう鳴かぬひとりぼっちの法師蟬
ワラビーのどれも影なし大残暑
しゃがんでは赤子に呼ばれリスの部屋
荻風や見られるに飽きタランテュラ
花芙蓉リスの気持ちのすぐ離れ
鳴き始むちちろ此岸の夕まぐれ
舞い降りて小さき音生む桐一葉

吉野 秀彦※(よしの しゅうげん)
1959年東京生まれ。「小熊座」同人。
炎天寺一茶まつり全国小中学生俳句大会主宰。
句集に『子雀』(ふらんす堂/2014刊)、『音』(朔出版/2019刊)。

※「吉」は下が長い字(土に口)です。
フォントの都合上表示されないため、「吉」で代用しています。

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