うちそと   佐々木紺

  • 投稿日:2021年04月03日
  • カテゴリー:俳句

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うちそと   佐々木紺

玻璃のうちそと春の濃度のちがふ
蠟梅のほころび下まつげが長い
ひと日ごと衣のかるく桜貝
濃く影は五月の玻璃をつらぬける
芍薬のぱふと弾けて祈祷室
抑圧のざらりと梨へ刃かな
脱ぎきつてまぶしい素顔草の花
雨はすすきへ一線を引くときの意思
遠き夜の父を弑する窓の雪
コルセットの痕ほの赤し冬の芹

佐々木紺
1984年生まれ。
2015年~BL俳句誌「庫内灯」vol.1-3編集部。現代俳句協会所属。

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