かわいそう 黒崎立体
すこしだけ知っているおんなが
いつの間にかこどもをうんでいて
ははおやの声ばかり出すのが
機械を見ているようで きもちがわるかった
――すごい発疹、
医者は明日もやってないし
まえ一回なったとき全身に広がったし
もう
かわいそうで、
こどもがいたんでいるときの過剰に
ははおやは均された声を出す
おんなの声が
母の声にかさなる、
記憶のどこかで降る雨の
においをいまも嗅ぐことができる、
私には傘が うまく分からなかった
かわいそうと言われれば
かわいそうなひとになり
ははおやはひとつの
暴力、
――はやく よくなりますように