「壊滅的」どうか誇張であってくれ10キロ先を確かめる術なし
岩手 奈瀬あすみ
毎日新聞四月十日短歌欄 伊藤一彦選
現代短歌には機会詩という性格がある。何らかのことに当たって、それに反応した言葉を短歌として定着させるということだ。このたびの東日本大震災も、短歌を生み出す大きな契機となっている。新聞の短歌欄には、すでに、震災の歌が掲載され始めている。
掲載歌は、毎日新聞四月十日短歌欄 伊藤一彦選者の特選歌。岩手県岩手郡在住の作者が、電話も電気も不通の状況の中で詠んで投稿してきたものだそうだ。
テレビやラジオは「壊滅的」という言葉をつかって被災地の状況を報道しているが、それが誇張であってほしいとの切なる願い、祈りがこめられている。震災前ならば簡単に行ける10キロ先への道を、震災は容赦なく遮断してしまった。被災地に在りながら、さらなる被害を受けた地への不安、結句の「術なし」に焦燥感と無力感が滲み出している。
日めくり詩歌 短歌(藤原龍一郎) | 詩客 SHIKAKU
on 5月 4th, 2011
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