震災の被害を悼む座の中にビジネスチャンスを口にする人
島田市 小田部雄次
「朝日歌壇」四月十日 佐佐木幸綱選 高野公彦選
被災者ではないポジションから詠まれた歌だ。市や町や村が大津波で壊滅したわけだから、その復興は急務である。復興とは即ち、仕事の発生である。仕事とはビジネスであり、そこには巨額のお金が動く。土建業や建設業にとって、この大災害がビジネスチャンスであることは、疑いのない事実である。被災地の映像を見て、そこにビジネスチャンスがあることを口にする人がいても、眉をひそめることしかできない。作者が眉をひそめる顔が見える。