透明の腹     駒田晶子

  • 投稿日:2013年07月19日
  • カテゴリー:短歌

駒田短歌130719

透明の腹     駒田晶子

四才になった子どもは朝な朝な火野正平のおはようを待つ

南吉のかあさんぎつねのように子の手の上に載せる銀貨一枚

浮き上がる金魚の餌を浮き上がり口ひらく金魚ひらかぬ金魚

安物の地球儀である東経130から150まで剥がれ

吸い殻を注ぎ口より吸いこみてビールの空き缶のけぶりたり

チューリップの茎立ったまま枯れているああああ花の色は忘れた

よつばほしダイヤあくまのしっぽのさきこころまるテグスに通しゆく

蒸し暑い朝に一匹の金魚四角の水にしずかに浮かぶ

若鮎と名づけられたる身を割れば味気なし透くばかりの腹など

青春はわが身を離れぞびぞびと少し茹ですぎのそうめん啜る

作者紹介

  • 駒田晶子(こまだ あきこ)

1974年福島県福島市生まれ。「心の花」所属。佐佐木幸綱氏に師事。2008年『銀河の水』上梓。現在、仙台市在住。

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