銀の鳥   浅野大輝

  • 投稿日:2017年09月02日
  • カテゴリー:短歌

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銀の鳥   浅野大輝

銀紙を小さな銀の鳥にするきみはゆふぐれ祈りのやうに

落鳥といひてしばらくうつくしき鳥の落下をまなうらに見ゆ

はつなつの船ゆるやかにゆれながらあそびつかれたものたちを、ここへ

ひとりまたひとり旅団をはぐれゆくひとみな風の記憶をつれて

くちなしの北限をもとめるこころありたりきみの言葉のなかに

想像のなかになんどもたふすため咲かす想像上のくちなし

消去法なれどしづかに選びだす迂回路すでに花に汚れて

うなづきをかへすはやさに日はさせり夏のいづれもむかふ風致区

感情のすがたを町にするときにどうしてここにある精米所

さうだなあ すべてがきみにもどること 上着のなかに日差しは残り

花瑠瑠とよびかけるときやはらかくぼくらのくちにある花の束

もういちど、とだれかが告げてもう一度夏にたふれてゆく遊撃手

だとしてもひとのいのりが白鳥を描く晩夏の夜はろばろと

水をやりそこねたことも語られて日記に花の飢ゑうるはしき

蕊ふかくふふみて朝顔のなかに空ありつねに朝焼けの空

浅野大輝
1994年生。秋田県能代市出身。
「塔」「東北大短歌」所属。「かるでら」「かんざし」同人。
短歌史プロジェクト「Tri」参加。

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