ワールドエンドに際して   初谷むい

  • 投稿日:2018年01月06日
  • カテゴリー:短歌

162

ワールドエンドに際して   初谷むい

うみべです 大雪が降り自転車があるかもしれない雪の膨らみ
こんなにもぼくらは祈りを口にするゼリーが口の端から落ちる
パズドラをあなたにおしえてもらったなマナーモードの静かな解除
こげたところ鍋からそっと食べている あかるい話をあなたに贈る
きっと嵩増しされている雪の海 海を見に行くのはだるいけど
あたらしいニットが身体に合っている ようこそぼくの身体へニット
ボ――――――という音は船、ってこの町の人は知ってるいつのまにかね
超新星 あくびに仕草に日は暮れてその無防備さを綺麗と言って
襟足がだんだん丸くなっていくあなたのゆたかな冬のからだの
CMにふつうに感動したりする 夢という夢はないけどそれは希望だ
一瞬でわすれちゃったなでもそれはそれはすてきなハンドルネーム
ふとんから顔だけ出してはにかんでおそらく夏のそういう写真
あかるいね雪の車道は あいづちのへたくそ許してもらっていたな
愛しあうことも祈りだ 誰だって巣にはあたたかいなにかを詰めて
言いたくてくしゃみにそれが消えてって夜のみなもに手を振っていた
ちんちんをにぎってねむるぼくはちゃんとやさしく居たいだけだったのに
蛍光灯両手に持って笑ってたその声でひかるかな蛍光灯
夜行バスでてをつないでるカーテンの向こうにきっと雪だけみえる
終らない世界をぼくを生活をゆるしてほしい 降るように声
目がさめてぼくらはどこへゆくのでしょう朝のさなかをただよっていた

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress